図1 華為技術日本 代表取締役のYan Lida(閻力大)氏
図1 華為技術日本 代表取締役のYan Lida(閻力大)氏
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 中国第1位の通信機器メーカーであるHuawei Technologies Co., Ltd.(華為技術)は,2007年7月18日に開催する「ワイヤレスジャパン2007」にブースを構える。同社が日本の展示会に出展するのはこれが初めて。同社のブースでは,W-CDMAの小型基地局や家庭用基地局(フェムトセル),WiMAX基地局などを展示する。

 Huawei社は中国を代表する技術志向の企業である(本誌関連記事)。同社の売上高は1年で40%増という猛烈な成長を続け,2007年に1兆円を超える見通し。日本では,イー・モバイルにHSDPA網の基地局やサーバーを提供したほか,沖電気工業と提携してWiMAXの基地局を国内に供給している。

 Huawei社は,第3世代携帯電話(3G)の普及が進んだ日本市場で勢力を伸ばすため,どのような戦略を描いているのか。日本法人である華為技術日本 代表取締役のYan Lida(閻力大)氏に話を聞いた。

(聞き手=浅川 直輝)



――Yan氏は日本支社を立ち上げる前,Huawei社の欧州進出を成功させた実績がある。先進国への導入実績がほとんどなかったHuawei社が,英British Telecom(BT)社や英Vodafone社などの受注をどのように勝ち取ったのか。

Yan氏 私が欧州担当となった2003年当時,欧州の通信事業者はHuawei社の技術力を疑っていた。「中国企業に,本当に最先端の通信機器を納入できる力があるのか」とね。

 欧州市場に食い込む契機となったのが,BT社の契約を取り付けたことだ。BT社が我々を選んだのは,BT社の要求に対する我々の反応が,どの企業より早かったからだと考えている。BT社が通信機器の仕様について新しい提案を出せば,我々はすぐにその提案を検証し,短期間で試作品を届けた。そのために,英国と中国にそれぞれBT社専属のチームを作り,英国で聞いた要求を即座に中国で検証・試作する体制を作り上げた。

 BT社に華為の技術を認めてもらえたのは大きかった。このことで,他の通信事業者も我々に対する見方を変えた。

 こうした欧州での経験は,日本でも生きている。イー・モバイル向けに同じく専属チーム体制を構築することで,同社の信頼を勝ち取った。

――日本市場における,華為技術の今後の戦略を教えて欲しい。 

Yan氏 日本は,3G事業が世界で最も早く立ち上がった地域だ。だが,日本の3Gインフラには一つの弱点がある。都市圏では欧米よりビルが密集する傾向にあるため,屋内で電波がつながりにくいことだ。

 華為技術は,屋内での通信環境の改善を目指す通信事業者に向けて,W-CDMA方式の小型無線基地局(IDBS:indoor distributed base station)を他社よりも早いタイミングで製品化した。基地局の基幹LSIを内製することで,開発期間を縮めることができた。

 この無線基地局は,ビルに備わっているEthernet網や光ファイバ網に接続できる。事業者は,ATMなどの専用網を使う従来の方式と比べ,配線工事まで含めて1/2~1/3と大幅に安いコストで導入できる。Ethernet経由で電力を供給すれば,給電用の配線も不要になる。

 IDBSに加え,家庭内の通信環境を大幅に改善できる超小型基地局(フェムトセル)を展示する。この無線局を3G携帯電話のユーザー宅に導入してインターネット回線に接続すれば,ユーザーはより快適に音声通話やデータ通信を楽しめるようになる。現在,日本の通信事業者の評価を受けている最中だ。

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