第1部<提言>
「下請け」から「共生」へ
中国企業との関係が激変

 Huawei社の台頭が象徴するのは,世界市場で拡大する中国企業の勢力である。足元の巨大市場で力を付け,新興市場で勢いを増し,日米欧へ進出する。この道のりをたどって多くの中国企業が世界へ飛び立とうとしている。日本企業は,中国企業との付き合い方の見直しを迫られる。単純な低コスト化を目的とする製造や開発の委託から,世界市場を共に開拓する強力なパートナーへ,関係を深める時が来た。

第2部<分析>
世界をまたに掛ける中国新興企業
強さの秘訣とまだある弱点

 中国の新興企業との協業で最大限の成果を発揮するには,中国企業の強さの源泉と現状での弱点を知ることが欠かせない。お互いの長所がうまくかみ合うなら,世界の市場で競争優位に立てる。中国企業の実力を知らず,まだまだ技術力が低いと侮っていると,いつのまにか市場から追い落とされかねない。

第3部<動向>
独自規格に傾注する中国
TD-SCDMAはついに実用へ

 2007年末,ついに中国独自の3G規格「TD-SCDMA」が始動する。TD-SCDMAは中国の独自規格戦略の第一歩にすぎない。今後中国は,以前よりはるかに向上した国内の技術力を生かし,国を挙げて独自規格の策定を加速させる。さらに,国際標準化団体に猛烈に働き掛け,4Gなどの分野で中国発の規格を国際標準へ昇格させる考えだ。

第4部<寄稿>
中国に溶け込めない日本企業
欧米企業の長期戦略に学ぶ

尹 昌来
チャイナウェイ 代表取締役社長

 中国における日本企業の存在感は,欧米企業と比べてはるかに小さい。理由の一つに,日本企業が中国企業との共同開発に消極的なことがある。産学連携,研究基金,留学生の招聘…。どれを取っても,日本は欧米に大きく立ち遅れている。リスクを恐れてこのまま様子見をしていては,せっかくの世界市場への架け橋を失うことになるだろう。