基板を一通り分析した技術者たちは(Tech-On!の関連記事),メイン・モジュールの一部を覆うシールドを取り外しにかかった(図1)。


図1 フラッシュ・メモリを覆うシールドを取り外す

 シールドの下から現れたフラッシュ・メモリは,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.製のチップだった。「SAMSUNG 710」「K9HBG08U1M」などの文字が書いてあり,端子部分を含めたパッケージの外形寸法は約20.5mm×約12mmである(図2)。なお,今回分解したiPhoneは4Gバイト品である。


図2 フラッシュ・メモリには「SAMSUNG」の文字 (画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます)

 シールドを取り外したことで,加速度センサと見られるチップも顔を出した。図2の写真でフラッシュ・メモリの下側に実装されている部品のうち,一番右に実装されている約5mm×約3mmのチップである。「302D」という文字が書かれていることから,伊仏合弁のSTMicroelectronics社製の加速度センサではないかと技術者たちは予想していた。

ディスプレイ・モジュールを見る

 iPhoneを特徴付ける機能の一つが,タッチパネル式の3.5型ディスプレイである。基板の分析を終えた技術者たちは,フレームからディスプレイ・モジュールを取り外しにかかった。ネジで固定されていた銀色の外枠を取り外し,本体表面の下部から工具を差し込むことで,ディスプレイ・モジュールの取り外しに成功した。iPhoneの表面のガラス(Tech-On!の関連記事)から,液晶ディスプレイの反射シートまでの厚みは,約3.5mmである(図3)。そのうち,2mm弱を占める液晶ディスプレイは「特別に薄いわけではない」(分解に協力した技術者)。一般的な部品を採用したようだ。


図3 ディスプレイ・モジュールの厚みは約3.5mm(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます)

 ディスプレイ・モジュールには,二つのフレキシブル基板が付いており,それぞれがメイン・モジュールとコネクタで接続する形態になっている。図3の写真の奥にあるのが液晶ディスプレイ用,手前にあるのがタッチパネル用の基板とみられる。

 これまでの分解作業で,主な部品の構成や配置は確認できた。しかし,まだ何カ所か,シールドに固く覆われた基板や,樹脂部品に覆われた部品が存在する場所がある。ここで分解作業をやめるわけにはいかない。技術者たちは,はんだごてを片手にシールドを取り外したり,樹脂部品の隙間に工具を差し込んだりし始めた(図4)。iPhoneの設計思想のさらなる深淵に近付きつつある(図5図6)。


図4 タッチパネル用の基板のシールドを取り外しにかかる


図5 分解作業の果てに,姿を大きく変えたiPhone(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます)


図6 シールド用の金属や絶縁用のフイルムなどをほぼすべて取り除いた(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます)

 日経エレクトロニクスは2007年7月16日号に,分解などによりiPhoneを徹底的に分析した特集記事を掲載する予定です。