松下電器産業がリコールを実施している冷蔵庫で,リコール実施日である2007年5月31日に火災事故が東京都で発生していたことが明らかになった。同年6月12日に経済産業省が公表した。同社は,この事故の事実を消費生活用製品安全法(消安法)に基づき経産省に同月7日に届けていた。

 火災事故に至ったのは松下電器製(実際の製造は松下冷機が担当)の「NR-F40V1」(リコール対象製品の製造期間は1989年2月~1990年1月)。冷蔵室のコンプレッサ周辺のリード線が若干焼損しており,冷蔵庫背面の壁が煤けた。現場の状況から推定した事故原因は「長期使用により機械室の通気口にホコリが溜まり,圧縮機周辺が高温になりやすくなっており,圧縮機の近くの床や壁も高温になると,床や壁の材質によっては塩素などの腐食性ガスが蒸散する可能性がある。この腐食性ガスが起動リレーの過電流保護(PTC)素子の電極部で銀移動(マイグレーション)を誘発し,素子の割れを引き起こした結果,発煙・発火に至った」(経産省の公表資料)ということのようだ。

 松下電器は,2007年5月30日に電子レンジ・冷蔵庫・衣類乾燥機の大規模(305万台超)リコールを発表。NR-F40V1もリコール対象機種の一つである(Tech-On!の関連記事)。

 2007年5月14日に改正消安法が施行されたことにより,事業者は重大事故を知った日から10日以内に管轄官庁に届け出なければならなくなった。松下電器は過去に発生した冷蔵庫の事故(5件)に関しては,改正消安法施行前のことなので届け出ていないが,今回の事故は改正消安法施行後であるため,届け出ていた。