携帯電話機など携帯機器に向けて米QUALCOMM Inc.が開発したメルチメディア放送規格である「MediaFLO」について,ソフトバンク100%出資会社であるモバイルメディア企画の矢吹雅彦代表取締役社長は,2009年の事業化を目指す方針を明らかにした。2007年6月8日に東京で開催された「MediaFLO Conference 2007」(こちら)での講演で述べた。

 国内における携帯電話機に向けた放送は,現在はNHKや民間テレビ放送局が地上デジタル・テレビ放送の一部の帯域を利用する形で「ワンセグ」を提供している。総務省では,電気通信審議会の下に電波有効利用方策委員会を設置し,2011年7月に予定されるアナログ放送の終了によって空くVHF/UHF帯の130MHz幅のうち,VHF帯の35MHz幅を放送用途に割り振る方針を打ち出していた(Tech On!関連記事リンク)。この周波数の一部は,ワンセグより広い周波数を利用した携帯機器向けのマルチメディア放送に割り振られると見られている。その候補となるが,MediaFLOやISDB-Tmm(Tech On!関連記事)である。

 矢吹雅彦社長の講演は,この2011年よりももっと早く実用化したいという考えを表明したものである。講演を終えた後,少し話しを聞いた。「UHF帯で周波数を見つけるのは難しい。VHF帯を念頭において,現在利用できる周波数がないか,調査している。それぞれの地域で周波数が異なっても,出来るところからサービスを開始できないか,検討を進めているところ」と現状を説明した。