図1 フレキシブル変調/符号化方式切り替え技術
図1 フレキシブル変調/符号化方式切り替え技術
[画像のクリックで拡大表示]
図2 効率的な階層割り当て/優先多重技術
図2 効率的な階層割り当て/優先多重技術
[画像のクリックで拡大表示]

 VHF/UHF帯域を利用した日本国内における携帯機器向けモバイル・マルチメディア放送の実現を目指すISDB-T マルチメディアフォーラム(ISDB-T MMF)は2007年1月26日に東京で,総会およびシンポジウムを開催した。同フォーラムは,2011年7月に地上アナログ・テレビ放送が終了することで空く周波数帯域を利用して,現行の「ワンセグ」サービスに加わる次代のマルチメディア型放送のサービスやビジネスのあり方,インフラ、受信端末などについて検討していく。

注1)このフォーラムの幹事会社は,マルチメディア放送企画LLC,フジテレビジョン,日本テレビ放送網,東京放送,伊藤忠商事,住友商事,スカイパーフェクト・コミュニケーションズ,電通,テレビ朝日である。このうち,マルチメディア放送企画LLCは,フジテレビジョン,伊藤忠商事,エヌ・ティ・ティ・ドコモ,スカイパーフェクト・コミュニケーションズ,ニッポン放送が出資する企画会社。

 総会では,サービス分科会とインフラ分科会の設置が了承された。それぞれ,「サービス・シナリオとシーンの取りまとめ」「2011年を想定した端末と,システム,ネットワークおよび決済,想定するプラットフォーム」を検討する。分科会のとりまとめの方針として,「すべての可能性を網羅する」としており,従来の放送/通信のビジネス・モデルのワクを超えた議論を試みると見られる。

 スケジュールとしては,2007年3月末ごろに分科会による中間報告,さらに同年5月には第一次とりまとめを予定する。現在,総務大臣の諮問機関である情報通信審議会の電波有効利用方策委員会で,アナログ放送終了後の周波数割り当ての議論が進められており,周波数帯域の確保のためにもフォーラムの議論を積極的にアピールすることになりそうだ。

 総会の後に,第二部としてシンポジウムが開催された。幹事会社でもあるフジテレビジョンのデジタル技術推進室 室長である上瀬千春氏が基調講演を行った。この中で,「2012年 モバイル革新の時代へ」として,現行のワンセグで利用するISDB-Tファミリーの一つ「ISDB-Tsb」から「ISDB-Tmm」(仮称)が必要とした。具体的には,現行のISDB-Tをベースに,フレキシブル変調/符号化方式切り替え技術(図1)や効率的な階層割り当て/優先多重制御技術(図2)の導入を提案した。