「当初我々は,小規模のイベントを本社で開催しよう思っていた。だが,予想を大きく超える参加希望者が殺到したので,焦って会場を探す羽目になった」――。
2007年5月31日に米サンノゼ市内のSan Jose McEnery Convention Centerで約1500人の参加者を集めて開催された「Google Developer Day2007(GDD07)」の基調講演に立った米Google Inc.,VP of EngineeringのJeff Huber氏は,冗談交じりに観客に語りかけた。Google Developer Dayの開催は2回目。同社本社に200人ほどを集めた前回と違って,今回は米国はもとより,パリや東京,北京など全世界10箇所にも会場を設けてほぼ同時に開催した。全世界合計では約5000人の参加者を集めたという。
Google社はGDD07で,「Google Gears」,「Google Mashup Editor」,「Google Mapplets」という三つの新技術を明らかにした。このほか,Google社の傘下にある動画共有サービス「YouTube」を,外部のWWWアプリケーションから利用するためのAPI(application programming interface)の開発状況を明らかにした。
Google Gearsは,Google社のWWWアプリケーションをインターネットに接続していない状態で利用可能にするためのソフトウエアである(Tech-On!関連記事,発表資料)。
Google Mashup EditorはGoogle社のWWWアプリケーションの機能を利用して新しいWWWアプリケーションを作る「マッシュアップ(Mashup)」支援するオンラインのWWWアプリケーションで,GDD07の開催に合わせて「試験版」の公開を始めた(関連のWWWサイト)。
Google Mashup Editorは,機能別にいくつものテンプレートを用意し,間違って入力したプログラム・コードを自動的に訂正して補完する「auto-complete」といった機能を搭載している。WWWアプリケーションをテストする環境も備えており,WWWアプリケーションやブラウザで動作可能なGoogle gadgetとして保存できる。完成したWWWアプリケーションは,Google社が運営するサーバー上で動作する。
Google Data APIにYouTubeを統合
Google Mappletsは,Google社の地図情報サービス「Google Maps」専用のウィジェット(同社は「gadget」と呼ぶ)機能である。Google Mapsの画面内に,第三者が開発した別の機能を追加できる。Google MapsのAPIを拡張して作られた。GDD07直前の2007年5月29日~30日に米サンノゼ市で開催された地理情報サービス関連のイベント「Where 2.0 Conference 2007」で正式に発表した(発表資料,機能を説明する開発者向けの専用ページ)。
Google Mappletsを利用した一つの例としてGDD07では,米国のガソリンスタンドの価格情報を提供するGasBuddy.comが作成したgadgetから,ユーザーが希望する地域のGoogle Mapsの地図上にガソリンスタンドの位置を表示させ,さらに地図上のガソリンスタンドのアイコンをクリックするとガソリン価格を表示するといったデモを見せた。Google Mappletsの特徴は,セキュリティを守りながらgadgetからGoogle MapsのAPI経由で情報を交換する点である,と同社は説明している。
GDD07では,YouTubeのデータを外部のWWWサイトから利用するためのAPIを説明するセッションが行われた。Google社によると,こうしたAPIとYouTubeからのRSSフィードを利用して,第三者のWWWサイトからYouTubeの動画コンテンツのメタデータ・タグを検索したり,動画プレイリストの動画を読み込める。またこのセッションで,YouTubeの外部APIを「Google Data API」と統合する予定があると説明した。