代表取締役社長兼会長の小野寺正氏
 KDDIの2006年度通期(2006年4月~2007年3月)決算は,営業利益が前年度比16.2%増の3447億円で,同社史上初めて3000億円を突破した。売上高は同9.0%増の3兆3352億5900万円である。

 2006年度における携帯電話の契約純増数は275万件。業界全体の純増数に占めるKDDIの割合(純増シェア)は55.8%と高い。携帯電話番号ポータビリティ(MNP)での他社からKDDIへの転入数は115万件,転出数は29万7000件だった。

 累計契約数は2819万件となり,2007年度(2007年4月~2008年3月)に悲願の累計3000万件達成を目指す。2007年度について代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は「業界全体での純増は340万件ほどと予測している。当社はそのうち181万件(純増シェア53.2%)を獲得する」と強気な見通しを掲げた。

次期は端末コスト削減で利益率を引き上げる

 2007年度通期の業績予想は,売上高3兆5000億円(前年度比4.9%増),営業利益3900億円(同11.1%増),純利益2200億円(同17.8%増)とする。

 ARPU(1契約当たりの月間平均収入)が引き続き下がる中で,携帯電話事業の営業利益率は2006年度の14.4%に対して15.9%まで上昇すると見込む。2006年度にMNP導入の影響で一時的にふくらんだ広告宣伝費が2005年度並みに落ち着くこと,端末の調達単価の低下に伴って販売奨励金も1台当たり3万6000円と2006年度より1000円低く抑えられる見込みであることが利益拡大の理由という。

 端末の調達コスト削減に向けてKDDIでは,現行の統合プラットフォーム「KCP(KDDI Common Platform)」の共通化領域を広げた「KCP+」を2007年内に投入する予定だ。新プラットフォームでは,ミドルウエア部分や米QUALCOMM Inc.が提供するOSとチップセット「MSM7500」も共通部分とする。端末メーカーが独自に開発するのはユーザー・インタフェースと差別化デバイスのみとなり,開発コスト低減に貢献するとみられる。


導入予定の新プラットフォーム(KDDIの説明資料より)

《関連記事》
「3社の競争環境は変わらない」,KDDI小野寺社長がモバイルビジネス研究会についてコメント

■国内企業の最新の決算はこちらからご覧いただけます。