第3世代のLoCosto
第3世代のLoCosto
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TI社 President兼CEOのRich Templeton氏
TI社 President兼CEOのRich Templeton氏
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 米Texas Instruments Inc.は,30~40米ドルと超低価格帯の携帯電話機に向けたLSI「LoCosto」が,累計で1000万台以上の携帯電話機に搭載されたことを明らかにした。さらに2007年中に50機種以上が採用する見込みという。「3GSM World Congress 2007」の開催に合わせて発表したもの。

65nm利用の第3世代品も投入へ

 LoCostoシリーズは,新興市場向けの携帯電話機などを想定して開発した集積度の高い1チップLSIである。携帯電話機のベースバンド処理機能やコーデック回路,RFトランシーバ回路など,通信処理に関連する主要機能を1チップに統合している。外付け部品点数などを減らし,結果的に端末の製造コストを低減できることをうたっている。TI社によればLoCostoシリーズは,既に12種類の約1000万台を超える携帯電話機に搭載されているという。「出荷を開始したのは2006年第4四半期であり,急速な市場の立ち上がりを見せている」(TI社)。LoCostoを採用した端末には,米Motorola社の「MOTOFONE F3」などがある(Tech-On!の関連記事)。

 TI社は今回の3GSM World Congressで,LoCostoシリーズとして第3世代に相当するLSI「LoCosto ULC」を発表するなど,さらに同領域へ注力する姿勢を見せた(発表資料)。LoCosto ULCは,同シリーズで初めて65nmのCMOSプロセスを採用して設計した。これまでは90nmのCMOS技術を利用していた。GSM方式の「TCS2305」およびGSM/GPRS方式の「TCS2315」の2種類がある。

 「TCS2305」は,音声通話を中心とするシンプルな携帯電話機に向けたLSIである。これまでの同クラス品では,カラー液晶パネルを利用する場合に外付けのSRAMが必要だったが,同LSIではメモリ領域の拡大により外付けSRAMなしでカラー液晶パネルを利用できるようになった。GSM/GPRS方式の「TCS2315」では,MP3プレーヤー機能やカメラ機能,Bluetooth機能などにも対応できるように機能強化を図っている。50米ドル~60米ドルと,TCS2305に比較して若干高めの価格帯の機種を狙ったLSIとして位置づけている。TI社は,これらのLSIのサンプル出荷を2007年前半に,そして量産出荷は2008年になるとしている。