LSIやボード設計者が仕事に必要な技術・手法,そして産業・企業動向の最新情報をお届けするテーマサイト「EDA Online」では,開発戦略とC言語設計に関係する記事がよく読まれた。かつては「無策」とまで言われたこともあった日本企業だが,最近は,報道機関向けにも積極的に戦略を語るように変化している。新製品発表会の場でも,新製品そのものよりも,戦略や目標を語る時間が長くなってきた。
それは顧客の要求が変わってきているからだ。顧客が低コストやハイ・スペックを要求することには変わりはないが,それだけではモノが売れなくなっている。目前の製品の開発コストが多少安価だったとしても,次世代品,次々世代製品開発のときに,時の経過に相当した進化を達成しそうな部品やツールでなければ,買ってもらえない。ロードマップや戦略が重要な理由がここにある。
▼ 2006年「EDA Online」記事ランキング
EDA Onlineの2006年の記事ランキングでは,2位の富士通の半導体事業戦略や,3位と8位に入ったキヤノンのLSI開発戦略,6位のルネサス テクノロジーの自動車用半導体事業戦略などが戦略関係記事の代表例である。2005年から1段飛躍したのが,松下電器産業のLSI開発戦略の「UniPhier」である。5位の記事のように,UniPhierは松下自身の開発戦略の枠を超え,異業種との協業の開発戦略へと進化した。
技術関係では,C言語設計に関係した記事が上位にランクされた。15位の記事のように,満を持して(ようやく?)市販されたNECのC言語動作合成ツールがこの分野のけん引役になっている。このほかで目を引くのは,18位のNECエレクトロニクスの信頼性シミュレータである。通常動作の設計検証に使う回路シミュレータのモデルを工夫して,10年後の回路動作をコンピュータ上で見せる。例えば,出荷当初300MHzで動作していた回路が,10年後にはトランジスタの劣化でその周波数で動作しないことが確認できる。
DFM関係では,富士通が自社開発したSSTAをマイクロプロセサ開発に適用した事例が21位で入った(Tech-On!関連記事)。