セイコーエプソンは,インクジェット・プリンター用のインク・カートリッジに関する特許権侵害で米国において24社を提訴しているが,このほどその24社のうち6社と和解した(発表資料Tech-On!関連記事)。和解条件については明らかにしていない。

 エプソンは,2006年2月17日に米国際貿易委員会(International Trade Commission:ITC)と米国オレゴン州連邦地方裁判所に対してそれぞれ,特許侵害で24社を提訴していた。今回,この両訴訟で6社との和解が成立した。和解したのは,ドイツArtech GmbH,香港Ink Lab Co. Ltd.,米InkTec America Corp.,韓国InkTec Co., Ltd.,米Inkjetwarehouse.com Inc.,米Rhinotek Computer Products, Inc.である。これら6社はエプソン製プリンター用の互換インク・カートリッジを製造・輸入・販売していたが,今後はそうしたカートリッジを米国へ輸入・販売しないことに同意した。

 今回の6社を除くほかの18社については,オレゴン州連邦地方裁判所における裁判の進捗に比べ,ITCの方が処理が進んでいる。例えば,ITCにおける訴訟では,残り18社のうち3社が既にITCの同意命令の発行に合意している。さらに8社についてITCが裁判継続の権利と意見主張の権利の放棄を決定している。このため,今回の和解で24社中17社との間でエプソンの主張に沿った解決が図れたとエプソンは説明する。未解決の7社とは2007年1月にITCにおける公判を持つ予定だ。

 なお,ITCの同意命令の発行に合意しているのは,香港Master Ink Co., Ltd.,米Ribbon Tree (USA) Inc.,米Apex Distributing Inc.の3社である。同意命令が実際に出されれば,これら3社の互換カートリッジの米国への輸入や販売行為は禁止される。

 ITCにおける裁判継続の権利と意見主張の権利の放棄が決定した(つまりエプソンの勝訴が事実上確実になった)のは,応答期限内に応答書類を提出しなかった8社。すなわち,米AcuJet U.S.A., Inc.,香港Butterfly Print Image Corp. Ltd.,米Glory South Software Manufacturing Inc.,香港Mipo International, Ltd.,米Mipo America Ltd.,香港Tully Imaging Supplies Ltd.,マカオWellink Trading Co., Ltd.,マカオRibbon Tree Trading Co., Ltd.である。

 一方,オレゴン州連邦地方裁判所における訴訟については,今回和解した6社を除く18社に対して,引き続き損害賠償請求などを求めていく。