Sony Computer Entertainment America社のKazuo Hirai氏(左),インタービュー相手は米The Wall Street JournalのStaff Reporter,Nick Wingfield,氏(右)
Sony Computer Entertainment America社のKazuo Hirai氏(左),インタービュー相手は米The Wall Street JournalのStaff Reporter,Nick Wingfield,氏(右)
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Microsoft社のRobbie Bach氏
Microsoft社のRobbie Bach氏
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 米サンノゼで開催されたベンチャー企業を紹介するイベント「Consumer Technology Ventures 2006」で,米Microsoft Corp.で「Xbox 360」や携帯音楽プレーヤー「Zune」などを手掛けるEntertainment and Devices Division, PresidentのRobbie Bach氏と,米国におけるプレイステーション事業を担当する米Sony Computer Entertainment America Inc.(SCEA) President兼CEOのKazuo Hirai氏が,同じ日にそれぞれ別に舞台に立った。両氏は自社の製品戦略をアピールした。2006年のクリスマス商戦では,次世代ゲーム機をめぐる戦いの決着がつかないと考えている点で,見解は同じだった。

 先に舞台に登場したのは,Hirai氏だった。北米市場で2006年11月17日に発売する「プレイステーション 3」(PS3)の優位性を主張した。20GバイトのHDD搭載機種が499米ドル,60Gバイト搭載機種が599米ドルと,他のゲーム機に比べて高い点については,「CellやBlu-ray Disc,HDMI,無線コントローラを標準搭載するPS3は今後10年間楽しめる。そう考えるなら投資に値する」と語った。PS2を発売したときにも,セガが既に低価格のゲーム機を市場に投入していたことも指摘した。

 発売時の販売台数が限られている状況についてHirai氏は,PS3向けの青紫色半導体レーザ素子の量産に関して技術的なハードルが高かったことを改めて説明した。さらに,発売時の販売台数が少ないことが,そのゲーム機の未来を決めるわけではない,と主張した。「発売時に当時としては最先端の技術をつぎ込んだPS2も,6年間で1億1000万台の販売実績をあげた。PS3の売れ行きは,2007年のクリスマス商戦ではますます勢い付くと考えている」(Hirai氏)。

「PSPがPS3開発の重荷に」とMS社


 Xbox 360を発売してからほぼ1年がたっているためか,Microsoft社のBach氏は主に2006年11月14日に発売する予定のZuneについて話をした。携帯型ゲーム機ではなく,携帯型音楽プレーヤーの製品化を優先したことについて「我々はXbox 360を成功させるために,研究開発のリソースを携帯型ゲーム機に割くことを避けたかった。PSPの後にPS3を製品化するSCEの戦略は,リソース配分の点からは賢明ではなかったのではないかと思う」(Bach氏)。

 Bach氏は,家庭用ゲーム機の市場をめぐる攻防が2007年春に激しくなると予測した。「2007年3月になればPS3の供給が十分になるだろう。そのときに499米ドルと599米ドルの定価でどれくらい売れるのか,興味深い」(Bach氏)。Xbox 360の価格を下げて価格戦争を開始する具体的な日付については明言しなかった。だが「価格設定は今後ますます重要になる」(Bach氏)とした。ライバル・メーカーの製品よりも先に,Xbox 360の販売実績を1000万の大台に乗せて製造コストを低減するれば,価格競争で勝ち目があると自信を見せた。