米MPEG LA, LLCは,動画の符号化技術「VC-1」に関連する特許のライセンスの概要を公開した(PDF形式の発表資料)。VC-1は,米Microsoft Corp.の「Windows Media Video」技術に基づいて,標準団体の米Society of Motion Picture and Television Engineersが2006年4月に標準を公開したもの。

 MPEG LA社が定めたVC-1関連の特許ライセンスは,基本的にパソコンとコンテンツ配信の2つの利用方法に分かれている。パソコンに採用する場合は,パソコンのOSに組み込む場合と,OSには含まれないがエンド・ユーザーに販売した製品やパソコンに組み込んだ製品が利用する場合に分けている。パソコン向けの製品では,ロイヤリティを支払う義務が2006年1月に発生し,現在のロイヤリティ構成は2010年まで有効とする。

 OSがVC-1を利用する製品のロイヤリティは以下の通り。
(1)1年間に0~10万本の製品:無料
(2)10万~500万本:1本当たり0.20米ドル(最初の10万本は含まない)
(3)500万本以上:1本当たり0.10米ドル
(4)1年間に支払う金額の上限は800万米ドル

 その他のパソコン向け製品(製品に符号化または復号化機能,あるいは両方の機能を含む)のロイヤルティは以下の通り。
(1)1年間に0~10万本の製品:無料
(2)10万~500万本:1本当たり0.20米ドル(最初の10万本は含めない)
(3)500万本以上:1本当たり0.10米ドル
(4)1年間に支払う金額の上限は500万米ドル

 コンテンツ配信の場合,ユーザーが直接料金を支払うコンテンツと,その他の収入源がある場合に分かれている。符号化または復号化の技術を利用する権利を対象にする。支払い義務は2006年9月に発生し,ロイヤリティ構成は2010年まで有効である。

 ユーザーがコンテンツ1本づつに料金を支払う場合(物理媒体の複製企業,もしくはケーブルテレビや携帯機器向けなどのVOD(video on demand)配信サービスを対象にする)のロイヤルティは以下の通り。
(1)12分以内の動画:無料
(2)12分以上の動画:ライセンシーの販売金額の2%もしくはコンテンツ1本当たり0.02米ドルのうち,金額が低い方。

 ユーザーがいわゆるサブスクリプション方式で支払うサービスの場合は次の通り。
(1)参加者が10万人以内:無料
(2)10万~25万人:2万5000米ドル(1年間)
(3)25万~50万人:5万米ドル(1年間)
(4)50万~100万人:7万5000米ドル(1年間)
(5)100万人以上:10万米ドル(1年間)

 その他の収入源がある場合は以下の通り。無料放送の場合は,1台のVC-1放送符号機当たり2500米ドルを1回に支払うか,以下の構成を選択する。
(1)10万~49万9999世帯を対象にする場合:2500米ドル(1年間)
(2)50万~99万9999世帯:5000米ドル(1年間)
(3)100万世帯以上:1万米ドル(1年間)
無料のインターネット配信の場合は,2010年まで無料で,2010年以降も無料放送向けのロイヤリティより高く設定しない。

 以上のすべての場合で,コンテンツ配信で支払う金額の上限は,2006年~2008年は425万米ドル,2009年~2010年は500万米ドルである。

 MPEG LA社のライセンスに参加している特許保有法人は,韓国DAEWOO Electronics Corp.やフランスFrance Telecom societe anonyme社,オランダRoyal Philips Electronics社,韓国LG Electronics Inc.,松下電器産業,Microsoft社,NTT,韓国Samsung Electronics, Co., Ltd.,シャープ,ソニー,ノルウェーTelenor ASA,東芝,日本ビクターである。