高速無線アクセスを用いた通信事業者である米Clearwire Corp.は,米Intel Corp.の投資部門であるIntel Capital社から6億米ドル(約690億円)の出資を受けることと,Clearwire社の子会社である無線通信端末メーカー「米NextNet Wireless社」を米Motorola,Inc.に売却することが決まったと発表した(発表資料)。Clearwire社への出資には,Motorola社の投資部門であるMotorola Ventures社も参加しており,今回の取引総額は,9億米ドル(約1040億円)に上るという。

 Intel社とMotorola社の目的は,モバイルWiMAX(IEEE802.16e-2005)向け基地局や端末の開発とサービス展開の加速。モバイルWiMAXは,2006年6月に商用サービスを開始した韓国を筆頭に日本など東アジアで実用化の動きがあるが,米国ではやや動きが鈍かった(関連記事)。両社の今回の投資は,米国でのモバイルWiMAXの実用化に向けて,本腰を入れだしたことを意味する。

 Clearwire社は,現時点で米国の200以上の都市や,アイルランド,ベルギー,デンマーク,メキシコで高速無線を用いたインターネット接続サービスを提供している通信事業者。サービスには,Next Wireless社が開発した「プレ・モバイルWiMAX」と呼ぶOFDMを基にした移動体通信技術を利用している。Intel Capital社の出資はモバイルWiMAX用基地局とネットワークの開発に向けたもの。一方,Motorola社は,今回の買収を米国政府が認めた後に,モバイルWiMAX用端末を開発してClearwire社に提供する。Intel社自身も,WiMAX向けチップセットのパソコンへの内蔵を急ぐ計画である。