2006年4月19日~4月21日まで幕張メッセで開かれている「TECHNO-FRONTIER 2006」において,「製品安全設計・対策技術シンポジウム」が開催された。この中で「今後の製品安全行政」と題して,経済産業省 商務情報政策局 消費経済部 製品安全課の福島伸一郎氏が今後の日本や現在の世界での製品安全への取り組みについて講演した。

 2005年に相次いだ製品事故,2006年にはPSE法に関する騒動など,大きな問題が続けて起きたことで,製品安全は経済産業省にとってさらに重要な案件になったという。今後は製品安全の規格体系を階層的にすることで,製造側,消費者側にとってより分かりやすく,そして製品の安全性が高まるようにしたいという。

 現在の構想では,基本安全規格(A規格),グループ安全規格(B規格),個別の製品安全規格(C規格)の三つを想定している。例えば,PSE法での技術基準はC規格に相当するという。現在,A規格の原案ができている段階。今後は10~20年経っても対応できる基準を作り,どの規格がどの危険性を対象にしているかを明確にしていく。

製品安全への取り組みの現実

 このほか講演では,製品安全の国際動向にも触れた。欧州では,わかりやすい体系が整っており,世界的にリードしているとするものの,運用は各国,各地方自治体,認証機関によってバラつきがあるとした。米国での制度は包括的で良く,制度が足りない部分を民間組織が支えるなど良い点が多いが,実際は州政府が強く,国全体としてまとまりづらい点があるとみる。

 日本では,期待,想像していたほど,製造事業者の製品安全に対する取り組みが浸透していないという。原因として,低コスト化の要求が厳しいことや包括的に製品安全をみる人がいないことが考えられるようだ。また事故情報については任意で報告するため,報告数に波があり,経年変化が見えにくく,事故情報を把握しきれていないという。