電通国際情報サービス 製造システム事業部
プロダクト開発部 伊藤宗寿

 プロジェクトのキックオフを終了させた佐藤さんは,システム化に向けて具体的なアクションを起こすことにした。そのために,まずはシステムベンダーの若林さんに来社してもらい,システムの紹介をお願いすることにした(図1)。今回はプロジェクトメンバーの全員,つまり,設計部の村上さん,解析部の佐藤さんと千葉さん,実験部の松田さんが同席し,システムのイメージを共有しながら,自分たちの部署でどのようにシステム化を進めるかをディスカッションしようと佐藤さんは考えていた。


図1●メンバーにシステムを説明する若林さん

 そしてさらに,前回の意見(第12回)を踏まえ,情シ(情報システム部)の関さんにも参加を依頼した。システムベンダーの若林さんからは「議論を活発にするために人を減らしてほしい」と言われていたが,結局,随分人数が増えてしまった。佐藤さんは大丈夫だろうか。

システムのデモンストレーションを見た感想

 会合では早速,若林さんが解析データの管理を行なうシステムについて一通りの説明とデモンストレーションを行ない,最後にこう付け加えた。


 若林さん:「本システムを導入いただければ,解析の業務が効率化されます。ぜひご検討をお願いいたします。ご質問はございますか?」

 佐藤さんたちプロジェクトメンバーからは意見がいくつか出てきた。


 松田さん:「使いやすそうだし,確かに業務は効率化されそうな気がするんだけど,実験データはどうなのかな? 今,既に実験データは別の仕組みで蓄積しているんだけど,それも一緒に管理したいな」

 若:「解析データと実験データを比較することは可能です。ただし,既に実験データは管理されているということですので,どのように比較するかは,そうした現状も踏まえて検討する必要がありますね」

 千葉さん:「検索機能があるといいなあと思います。ただ,数多くのデータから,自分のほしいデータにどうやってたどり着けるのか,どうやって絞り込むのかがイメージできないんです」

 若:「そうした機能としては,いくつかのキーワードやカテゴリから徐々に絞り込む機能があります。たとえば,登録担当者や日付,機種名などで絞り込むことができます」

 松:「そもそも,そんなことに困るほどデータが蓄積できるといいんだけどね。千葉さん,データをどんどんためていこうね」

 千:「そうですね,どんどんデータをためないといけないですね。でも,操作は簡単ですが,ためる作業にも時間はかかるので,自分自身もきちんと登録するかどうか不安です。今でも結構遅くまで仕事をしているので」

 佐藤さん:「確かに千葉さんはいつも遅くまでがんばっているよね。それに加えて,登録の作業が増えるのは困るよね」

 千:「まあ,家に帰っても特にすることがないから構わないんだけど」

 佐:「はあ…」(苦笑)

 いろんな意見が出てきたものの,まとまりがなくなってきた。

過去データの検索はどういう視点で行なうのか