総務省は,IEEE 802.11nなど次世代無線LANの仕様にあわせた技術基準の検討を始める。2006年3月27日に開催する情報通信審議会の専門委員会で開始する見通しである。審議期間は約1年を予定する。順調に進めば,伝送速度が最大600Mビット/秒という超高速の無線LANが,2007年半ばに日本で可能になりそうだ。

 今回,総務省は2001年に設置した委員会「5GHz帯無線アクセスシステム委員会」で,802.11n向けの技術基準を検討する。具体的なテーマは,(1)現行の無線LANで利用可能な2.4GHz帯および5GHz帯の周波数で,20MHz幅だった無線LAN用の周波数チャネルの40MHz幅への拡大,(2)MIMO(multiple input multiple output)技術の高度化,など。「審議では,5GHz帯でのチャネル配置などの検討が中心になるが,2.4GHz帯も必要に応じて検討する」(総務省基幹通信課)という。

 MIMOは現行の無線LANの技術基準でも一部利用可能で,すでに対応製品も出荷されている。しかし,802.11nでは4×4(アンテナ数が送信側で4本,受信側で4本)のMIMOを利用したり,アンテナごとに電波の送信出力を変えたりする技術も規定する見込みである。従来の基準のままでは,電波の送信出力などの点で,802.11nの仕様が十分に利用できないケースもでてくる可能性があった。