セイコーエプソンは,2006年1月に発表した「収益力強化改革プラン」(Tech-On!関連記事)に基づき,2006~2008年度の中期経営計画を策定した(発表資料)。利益指標が前年から5割程度のマイナスとなった2005年度のここまでの業績について,代表取締役社長の花岡清二氏(写真)が「株主の皆様,資本市場にご心配をおかけしたことを深くお詫びします」とし,2008年度に経常利益1000億円を達成するための施策を説明した。

 インクジェット・プリンター事業においては,販売台数を伸ばすよりも高価格機を中心とした製品系列をととのえていく。キヤノンと激しい首位争いを繰り広げている国内市場においては「シェア1位を維持することも目標に据える」としているが,その他の市場については,シェアを落としても利益率を上げたい考えだ。


図●個別事業戦略(エプソンの経営計画説明資料より)

 2005年通期で30%程度の平均単価下落があったという,中・小型液晶パネル事業については,現在の日系企業を主とするパネル材料の調達体制を海外も含めた形に変更するなど,コスト削減を徹底して価格低下に対抗しうる事業体制を築くとする。カラーSTNパネルやアモルファスTFTパネルについては需要増への対応,TFDは低消費電力技術の改良,低温ポリシリコン液晶パネルは2007年度以降に向けた高精細品種の開発を,それぞれ目標に掲げる。携帯電話機やデジタル・カメラ向け市場でシェアを伸ばすとともに,PDAや車載機器など,ターゲット市場を拡大して成長を狙う。

 半導体事業に関しては,事業全体で「スリム化」を図るとした。生産拠点や生産ラインの統合/再編を進めていくという。「再編についての詳細は顧客との関係上,明かせない。現時点では事業売却や事業の終結は考えていない」(花岡社長)とする。

2005年度は赤字拡大

 人員については,欧州の従業員を100人程度削減する,取締役定員数を25人から10人へ減らして任期も2年から1年へ短縮するなど,コストの削減を図る。連結業績目標は,2006年度が売上高1兆5550億円,経常利益400億円,2007年度は1兆5900億円,経常利益700億円,2008年度は売上高1兆6700億円,経常利益1000億円としている。

 なお,エプソンはコスト削減施策のための費用の計上と訴訟費用の積み増しを理由に,2005年度通期の純損失の予想を,前回発表の140億円に対して230億円へ下方修正している(発表資料)