収益力強化プランを発表する花岡社長
収益力強化プランを発表する花岡社長
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 「今年度は,今回を含めて3回の業績予想の修正を繰り返した。誠に不本意」(セイコーエプソン 代表取締役社長の花岡清二氏)。
 セイコーエプソンが2006年1月27日に発表した,2005年度第3四半期(2005年10月~12月)の決算内容は,売上高こそ前年同期を上回ったものの,営業利益は44.7%減,純利益は55.6%減と前年実績を大幅に下回った(発表資料)。事業セグメント別では,同社の中核事業である情報関連機器と電子デバイスで,いずれも利益が落ち込んだ。
 2005年度の通期予想は,2005年10月26日に発表した修正予想よりもさらに下がってしまった(Tech-On!の関連記事)。売上高は1兆5530億円で10月26日時点の予想よりも650億円下回る。営業利益は240億円で,同200億円下回りそうだと予想する。

5本柱の収益力強化プランを示す

 そこで,同社は事業の建て直しを図るための「収益力強化プラン」を発表した(発表資料)。同プランは5つの柱で構成する。「ライン再編など電子デバイス事業の固定費の見直し」「事業と商品ポートフォリオの強化」「人員削減を含む短期的な投資回収力の強化」「拠点の見直し」「企業風土改革」である。
 電子デバイス事業の固定費に関しては,今後2年間で500億円規模の削減効果を見込んでいる。商品ポートフォリオについては,高性能品から低価格品まで幅広く開発し続ける方針は変わらない。低価格品は収益力が落ちているが,「部材メーカーとの交渉力を高めるために」品揃えを維持して数量を確保する。ただし,個々の製品については「他社との協業はあり得る」とした。人員については,派遣社員など3000人を減らし,2万5000人の体制とする。これらの施策により,今後3年間で1500億円の収益改善効果が出るとみている。
 さらに同社は,2006年3月16日に強化プランの詳細をとりまとめた中期経営計画を発表である。同計画では,2006年度には電子デバイス事業の黒字化,2008年度には全社で1000億円以上の経常利益の計上を目指す。

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