世界全体のパソコン出荷台数が好調に増えている。特にノート・パソコンの伸びが著しい。「日経マーケット・アクセス」の調査によると,2005年は対前年比29.2%増の約5730万台に達した。2006年も同22.0%増の約6990万台と20%以上の高い成長が見込める。

 メーカー別に見ると,トップの米Dell Inc.と欧州市場で販売が好調な台湾Acer, Inc.がシェアを拡大している(Tech-On!関連記事)。特にAcer社は2005年に対前年比64.2%増と全体の成長率を大きく上回った。今の勢いなら,2006年に中国Lenovo Group Ltd.(旧米IBM Corp.)と東芝を抜いて3位になることはほぼ間違いない。

 Dell社とAcer社をめぐってノート・パソコンを生産する台湾メーカー,特に台湾Quanta Computer Inc.と台湾Wistron Corp.が激しい競争を繰り広げている。

Acerで伸ばすQuantaとCompal,DellはWistron

 2005年のAcer社の急激な成長で,世界のノート・パソコンの80%以上を生産する台湾メーカーの中で寡占化が進んだ。Acer社向けに生産するQunata社と台湾Compal Electronics, Inc.のシェアの合計が,2005年に約50%になった(図)。2003年に両社の比率は40%を超えたところで頭打ちになり,さすがに寡占化にも限界があると思われたが,2005年に両社の合計シェアは再び上昇した。Acerグループの台湾Wistron社もAcer社向けに生産しているが,増加分をQuanta社とCompal社に持っていかれた格好だ。


図●Quanta社とCompal社の世界全体に占める台数シェアの推移(1997年~2005年実績,2006年予測)

 その一方で,Quanta社の急成長の原動力になったDell社は2006年の増加分をWistron社に振り分ける。Quanta社のDell社分は増えない見込みだ。Wistron社としては,Acer社向けの借りをDell社向けで取り返す。まだまだ台湾メーカー間の争いは続く。