2005年第4四半期にDRAMメーカーがDDR2型DRAMの生産計画を下方修正せざるを得なくなった。パソコン・メーカーの計画では,2005年秋モデルは一部のローエンド・モデルを除いて大半のパソコンがDDR2型を搭載する予定だった。しかし,DDR2型に対応したチップセットが足りない状況では,パソコン・メーカーも計画変更せざるを得ない。それは当然,DRAM需要にも影響した。DRAMメーカーの計画を積み上げるとDRAM全体に占めるDDR2型の割合は2005年第4四半期に60%近くに達するはずだった。しかし,実際は40%強にとどまる見込みだ(図)。

図●DDR2型比率の推移(2004年第1四半期~2005年第3四半期実績,2005年第4四半期予測)

チップセット不足解消のメド立たず

 チップセット不足は,パッケージ用の基板が不足しているからだ。基板不足の理由は2つある。1つは,一部のメーカーで生産トラブルが生じ供給量が下がっていること。2つ目は,ゲーム機用ICのパッケージでも基板が必要で,基板の生産能力を取り合っていることだ。これらのLSI用基板は,従来のものより求められる精度が高く,基板の積層数も多いなど製造できるラインが限られる。そこで,米Intel Corp.は,より製造条件の緩い基板が使えるDDR型に対応した1世代前のチップセット「Intel845」を増産することで,とりあえずチップセット不足を解消した。

 2006年も新しいゲーム機の発売が続くため,ゲーム機用ICの需要が減ることはなさそうだ。基板不足解消のためには,生産トラブルを起こしている基板メーカーのトラブルが解消するか,他の基板メーカーが投資をしなければならない。しかし,トラブルを起こしたメーカーがトラブルを解消すれば供給過剰になる可能性があるため,他の基板メーカーが投資に二の足を踏んでいる。従って,基板の生産能力増加のメドは立っていない。DDR2型の需要の増加は,早くても2006年春以降になるだろう。DRAMメーカーも,2005年第4四半期から変わらず2006年第1四半期の生産を計画している。