TiVo社のRogers氏
TiVo社のRogers氏
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 米TiVo Inc.は,自社のHDDレコーダ「TiVo Series2」向けに,写真の共有や音声podcastの再生,映画券の販売といったオンライン・サービスの提供を始めることを明らかにした(発表資料その1)。今回の発表は,TiVo社が2005年1月に発表したオンライン・サービスやソフトウエアによる機能拡張を強化する「Tahiti」と呼ぶ戦略(Tech-On!関連記事その1)に関連する発表である。米国ロサンゼルスで2005年11月30日に開催されたデジタル・メディア関連イベント「DEMXPO」の講演で,TiVo社のPresident兼CEOであるTom Rogers氏は「ハードウエアの販売は続けるが,我々のビジネスにとってこれからはソフトウエアの大量配信が最も重要になる」と宣言した。

 TiVo社はまず,米Yahoo! Inc.の写真共有などのオンライン写真サービス「Yahoo! Photos」や地域の天気予報や交通情報を扱うオンライン・サービスの利用を可能にする。TiVo社はYahoo!社との連携を深めている。2005年11月にTiVo社はYahoo!社の協力によって「Yahoo! TV」のサイトを利用して,TiVo Series2のHDDレコーダのユーザーが自宅外から録画予約できるサービスを可能にした(発表資料その2)。このほか,TiVo社は,自社のHDDレコーダで米Live365, Inc.が提供するインターネット・ラジオの再生を可能にする。さらに米Fandango Inc.のオンライン映画券販売サービスの利用もできるようにする。こうしたオンライン・サービスを扱うにはユーザーがHDDレコーダのソフトウエアをアップグレードする必要がある。

「広告市場の悩みに応える」


 DEMXPOでTiVo社のRogers氏は,オンライン・サービスを増やしながらユーザーを拡大するための戦略を強調した。同氏は2005年3月に発表した米ケーブル・テレビ大手Comcast Corp.との提携に基づき,2006年中に出荷する予定のComcast社のHDDレコーダ用に,TiVo社のサービスに対応するソフトウエアを開発する可能性を示唆した(発表資料その3)。「こうしたソフトウエアを開発すれば,我々のサービスに対応するためにサービス・プロバイダが何度も新しいモデルを用意しなければならない事態を解決できる」(Rogers氏)。ただし,米国市場ではアナログ方式のケーブルテレビを視聴する3600万~4000万世帯がまだ存在するので,こうした市場に向けてTiVo社自身も,HDDレコーダの販売を続けるという。

 Rogers氏によると,今後はTiVo社にとって広告市場が重要になる。同社は既に録画したコマーシャル映像を検索する機能を自社のHDDレコーダに追加すると発表している(Tech-On!関連記事その2)。「TiVoが真価を発揮するのは,ユーザーが自分の好みに合ったコマーシャル映像が付いたテレビ番組を選べるようになること」(同氏)。HDDレコーダのユーザーが,コマーシャル映像をスキップすることは,テレビ広告業界の悩みの種になっている。TiVo社によれば,TiVoの検索機能はこうした問題を解決するという。