DVDレコーダの生産台数を見ると,韓国メーカー2社で明暗が分かれた。韓国LG Electronics Inc.の伸びが際立っている(図)。LG社は米国市場でVTRとのコンボタイプ(日本で言うところの2in1,3in1)でシェアを伸ばした。そのおかげで同社の2005年の生産台数は,200万台を超える見込みだ。一方,ソニーや東芝へのOEM生産に加えて自社ブランドで販売を拡大する計画だった韓国Samsung Electronics Co., Ltd.は,2005年の生産計画を200万台から100万台前後まで落とさざるを得ない状況だ。自社ブランドの販売不振が大きな原因である。

図●世界のDVDレコーダのシェアの推移(2004年実績,2005年予測)

日本メーカーは中国,台湾メーカーに生産委託

 2005年第3四半期に,DVDレコーダの世界出荷台数がメーカーの計画通りに増えなかった。2005年通年の生産台数は1500万台程度,2006年は1900万台程度にとどまる見通しだ。このため,メーカー間の価格競争は激しさを増している。これまでDVDレコーダの生産で高いシェアを誇ってきた日本メーカーだが,今後は台湾メーカーや中国メーカーに生産委託して生産コストを抑える動きが増えそうだ。

 再生専用のDVDプレーヤが普及したときは,中国メーカーが参入して一気に価格が下がり,ほとんどの日本メーカーは早々に撤退した。DVDレコーダは,光学系部品を日本メーカーが供給していたり,中国メーカーの最大市場である米国で需要が増えていないなどの理由で,再生専用機が普及期を迎えたころとは異なり,中国メーカーが争って参入するほどにはなっていない。そのため,あと1~2年はDVDレコーダで日本メーカーが利益を確保できると思われた。

 しかし,DVDレコーダ需要が意外と伸びていない。かつてVHSデッキの年産はピーク時に5500万台に達していたことから,DVDレコーダ・メーカー各社は需要拡大が当面続くと読んでいたが,年産3000万台程度で早くも飽和するとの見方も出始めた。プレーヤに続きレコーダでも,利益を出せる時期は短くなりそうだ。