学生の理系離れが叫ばれるようになってからだいぶ経ちます。2005年7月に経済産業省が発表した「平成17年度版 年次経済財政報告書」でも,企業や大学の研究者・技術者は2001年をピークに減少傾向にあると指摘しています。中でも35歳未満の若手は2007年に100万人を下回り,将来,技術開発に携わる人材育成が急務であるとの見解を示しているほどです。

 そこでTech-On!では,今後の日本の産業界を支えていくであろう学生や若手技術者を応援するコラムを作ることにしました。まずはさまざまな技術のこれまでの変遷をお伝えし,その技術の過去・現在・未来を考える「技術の流れを読む」をお送りします。

 最初にお届けする題材は,このところDVDレコーダへの内蔵などで一般家庭でもその存在感を急速に増しているハード・ディスク装置(HDD)です。HDDが世に登場してから約50年。大型コンピュータの外部記憶装置だったHDDが,半世紀の間にいかにして家庭に入り込んだのか,2010年になってもHDDは外部記憶装置として活躍しているのかなど,興味は尽きません。以下の内容で4回にわたって連載する予定です。その後も少し間隔はあきますが,「光ディスク編」「液晶編」と続けていく予定です。

【HDD編】
第1回 --- パソコンのコモディティ化の波に乗る(1980年代後半~1990年代前半)
第2回 --- GMRヘッドと予想外の価格下落(1990年代後半)
第3回 --- 携帯型音楽プレーヤで活性化(2000年~2005年)
第4回 --- 小型HDDの今後を占う動きが2005年後半に(2005年以降)