85ユーロの「Nokia 1600」
85ユーロの「Nokia 1600」
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 フィンランドNokia Corp.は,低価格版の携帯電話機「Nokia 1110」「Nokia 1600」をケニアのナイロビで開催した報道機関向け会議で発表した(発表資料)。通信方式はGSMで,2種類の周波数帯に対応するデュアル・バンド機である。2005年第3四半期に発売する。今回発表した2機種は,アフリカをはじめとする,今後携帯電話機の普及する余地が大きい地域に向けた機種である。Nokia社は,アフリカでは2005年中に携帯電話の契約数が1億に達し,2009年までには2億に達するとみている。全世界でみると,2010年には30億台に達すると予測している。

 発表した2機種のうちNokia 1110はモノクロ・ディスプレイを備える低価格版で,重さは80g,通話時間は最大5時間,待ち受け時間は最大380時間。店頭での販売価格は65ユーロ(約8600円)を見込む。もう1機種のNokia 1600は,6万5536色のカラー・ディスプレイを備え,重さは85g,通話時間は最大5.5時間,待ち受け時間は450時間とする。価格は85ユーロ(約1万1200円)とみる。

 携帯電話の普及率が低い地域では,大きな通話料収入は見込めない。Nokia社としては,1ユーザーの1カ月あたりの支払いが5米ドル程度でも通信事業者が利益を出す必要があるとみている。このため,原価を下回る価格で携帯電話機を販売し,契約後の通話料収入で補うという日本の販売モデルが適用しにくい。65ユーロ,85ユーロという2機種の販売価格は,原価を反映した価格とみられる。

 このほか両機種の主な機能としては,音声による時刻通知や映像による操作案内のほか,通話履歴管理,ゲーム,和音による着信メロディなどがある。音声コーデックは,第3世代移動体通信(3G)でも使われるAMR(adaptive multi-rate)。このほか,SAIC (single antenna interference cancellation)と呼ぶ端末技術を採用,ネットワーク容量と音声品質を向上した。

 低価格版携帯電話機については,2005年2月に開催された「3GSM World Congress 2005」で,米Hop-on Wireless, Inc.が36米ドル,米Motorola, Inc.が40米ドルの機種を発表している(Tech-On!の関連記事)。