日本政府は,米国通商代表部(USTR)が米国時間で2005年3月31日に発表した「Results of the 2005 Section 1377 Review of Telecommunications Trade Agreements」(以下,1377条レビュー)に関するコメントをとりまとめ,米国時間の4月14日,米国政府へ伝達した(総務省の発表資料)。1377条レビューは,1988年包括通商競争力法1377条に基づき,USTRが電気通信製品やサービスに関する貿易について,貿易相手国の運用状況を審査するもので,例年3月末から4月初頭にかけて結果が発表される。日本政府は,米国国内法に基づいた一方的なレビューが行われることに懸念を示し,レビュー結果に対して例年,コメントを発表してきた。

 2005年の1377条レビューには,「NTTドコモの接続料が極端に高い」,「NTT東西の接続料が極端に高い」,「携帯電話用の周波数割り当ては透明で偏向のない形で行われるよう促す」などと記されていた。これに対して日本政府は,携帯電話用の周波数割り当てについて,「USTRが合理的な根拠もなく我が国の周波数割り当てについての懸念を一方的に表明しているのは遺憾である」と表明した。

「ソフトバンクの件は透明・公正」


 さらに,総務省がソフトバンクBBに対して800MHz帯の認可を与えなかった件(関連記事1同2同3)について,「新規参入希望者を不透明な理由で拒否した」などと批判した1377条レビューに対し,「重大な事実誤認(serious misunderstanding)」であると繰り返して反論した。「割り当て方針については,ソフトバンクを含めた関係者・有識者によるオープンな意見交換およびパブリック・コメントを踏まえ,2005年2月8日に理由を明示した上で決定したもの」と透明性を強調する。

 また,1.7GHz帯については,「免許方針案の策定に取り組んでいるところであり,パブリック・コメントを招請するとともに,電波監理審議会への諮問・答申を踏まえ,夏ころまでに免許方針を決定し,選定基準を明確にする。その後,希望者からの申請の受付を行い,透明・公正な手続きにより年内にも割り当て事業者を決定する予定」と今後の計画を明らかにした。