総務省は2005年2月8日,電波の800MHz帯の再編案について意見募集の結果を公表し,これまでの再編案に変更はないとの結論を発表した(発表資料)。この結果,800MHz帯の移動体通信サービス用の周波数帯域は,現行の主な利用者であるNTTドコモとKDDIの2社に再配分されることになる。再編案に対し,行政訴訟も含む強硬姿勢で反対していたソフトバンクBBが,同周波数帯を使って携帯電話事業に参入できる可能性は小さくなった。

 同省は800MHz帯の再編案について2004年8月6日~9月6日に実施した意見募集の結果を公開した。それによれば,総意見提出件数3万2851件のうち,約98%,3万2151件が「総務省案に反対,ソフトバンクBBなどの新規参入を認めるべき」という意見だったという。

 800MHz帯の再編案は,周波数が800MHz~900MHzの間で「PDC」と呼ぶ方式を利用している携帯電話サービスなどを2012年7月までに終了させ,第3世代移動体通信システム(3G)への移行を図るもの。総務省の案では同周波数帯を現在利用しているNTTドコモとKDDIの2社に再配分することになっている。既存の方式との共存を図りながら移行を進めるため,既存方式の制御チャネル用バンドやガードバンドを設けて電波干渉を防ぐなど複雑な手順を踏む。

 これに対してソフトバンクBBは,独自の再編案を提出していた。しかし,総務省は「制御チャネルを廃止するなどの点で技術的に問題が多く,仮に実行した場合,既存利用者へのサービスに著しい支障が生じる」などとしてこの案を退けた。

 この決定についてソフトバンクBBは「まだ今回の結論を検討中」(同社)として,態度を明らかにしていない。