米MPEG LA, LLCは,米Open Mobile Alliance Ltd.が発行した携帯端末のDRM(digital rights management)に関する業界標準仕様「OMA DRM」について,ライセンスのためのロイヤルティ料を値下げする提案を行った(PDF形式の発表資料その1Tech-On!関連記事)。MPEG LA社は2005年1月にロイヤルティ案を発表していたが,携帯電話の関連業界から高すぎるとして強い反発の声が出ていた。例えば,GSM(global system for mobile communication)方式を採用する携帯電話事業者の業界団体である英GSM Associationは3月31日に出したプレス・リリースの中で,MPEG LA社の料金設定は「実用的ではない」と強く批判するとともに,OMA DRMの代替となるDRM技術の評価を開始するとした(発表資料その2)。今回の見直し提案は,こうした反発の声を受けてOMA DRMを利用者側と妥協を図る狙いがあるとみられる。

 OMA DRM 1.0もしくは2.0を採用する携帯端末の1台の販売に対するロイヤルティ料は1米ドルから0.65米ドルに値下げした。OMA DRM 1.0を採用したコンテンツの有料配信に対するロイヤリティについては,加入者がコンテンツを初めて購入した時点から年0.25米ドルの支払いを求めている。1月に示された案では取引金額の1%を要求していた。今回の新しい提案では,ヘビー・ユーザーにとっては大幅な値下げになるが,利用頻度の少ないユーザーにはかえって値上げになるケースも出てきそうだ。