三洋電機 代表取締役 会長 兼 CEOに就く野中ともよ氏
三洋電機 代表取締役 会長 兼 CEOに就く野中ともよ氏
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代表取締役 社長 兼 COOに就く井植敏雅氏
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 三洋電機は,野中ともよ氏を代表取締役会長 兼 CEOに,井植敏雅氏を代表取締役社長 兼 COOとする人事を発表した。2005年6月29日に就任する。現社長の桑野幸徳氏は取締役相談役に退くが,井植敏氏については会長職を外れるものの代表取締役と取締役会議長を引き続き務める。

 同社は,2004年10月に発生した新潟中越地震で大きな被害を受け,半導体の主力工場である新潟三洋電子が約2カ月間にわたり操業停止するなど,重大な損害を被った(Tech-On!の関連記事1同2同3)。2005年3月の発表では,2004年度の純損失は1210億円へと下方修正している。震災被害に加え,デジタル家電の市況が悪化したことが影響した(同4)。桑野氏は「震災をバネに高収益企業に生まれ変わる」としていたが,今回の経営陣の刷新は震災などによる損失の責任をとった形だ。

現場からは驚きの声

 新会長兼CEOの野中氏は,上智大学 文学部 新聞学科卒業後,米ミズーリ・コロンビア大学大学院でフォト・ジャーナリズムを専攻するなどしてマスコミ界に入ったジャーナリスト。テレビ番組のキャスターのほか,中京女子大学の客員教授などを務めた。企業の経営経験としては,2002年3月にアサヒビールの取締役に就任したのを皮切りに,2002年6月から三洋電機,2004年6月にはニッポン放送の取締役にも就いていた。ニッポン放送の取締役は,ライブドアによるニッポン放送株取得と共に,2005年3月に退任している。三洋電機の広報部は,同氏の選任について「斬新な発想,判断力,国際感覚,バランス力,行動力などを評価した結果」としている。

 新社長の井植敏雅氏は,三洋電機の創業者である井植歳男氏の孫にあたる。三洋電機のソフトエナジーカンパニー社長などを経て,2003年4月に代表取締役副社長を務めていた。2004年くらいから,社内では桑野氏の後を継いで社長になるのではないかウワサされていたようだが,野中氏の会長兼CEO就任についてはまったくの想定外だったようで,現場からは「まさかこうした人事があるとは」と驚きの声が上がっている。

 振り返ると,ソニーの代表執行役会長兼グループCEOに就くのは,CBS出身で主にメディア事業を担当していたHoward Stringer氏(Tech-On!の関連記事5)。事情は異なるものの,日本の大手電機メーカーの大手2社が時期を同じくして,外部のジャーナリスト出身者をトップに迎えることになった。現場の技術者は,今回の人事をどうとらえているだろうか——。