DVDの著作権保護技術CSS(content scrambling system)を解除するツール「DeCSS」の作者Jon Lech Johansen氏ら3人が(Tech-On!の関連記事1同関連記事2),米Apple Computer Inc.の音楽配信サービス「iTunes Music Store」で,Apple社の著作権管理(DRM:digital rights management)技術「FairPlay」を外した状態で曲を購入できるツール「PyMusique」(図1)を開発したことが明らかになった(PyMusiqueのWWWサイトTech-On!の関連記事3)。

 PyMusiqueのWWWサイトによれば,このソフトウエアを使うと,iTunes Music Storeでの楽曲の視聴,楽曲を購入するためのアカウントの登録,楽曲の購入,購入した楽曲の再ダウンロードが可能という。Johansen氏が書いたとされる電子メールによると,「実際にはiTunes Music StoreはDRMを施さない状態で楽曲を販売し,パソコン用ジュークボックス・ソフトウエア「iTunes」が購入した楽曲にDRMの処理を加えている。PyMusiqueはこの処理を実行しない」。つまり,PyMusiqueはiTunes Music Storeで楽曲ファイルを購入した後,FairPlayを施す前の音声データをAAC(advanced audio coding)形式のファイルで提供するようだ。現在PyMusiqueは,WindowsとUNIX系のOSに対応している。

 欧米では,DRMを施した音楽や映像の流通はユーザの権利に不公平な制限を加えるものとして,DRMの利用に反対する動きがある。PyMusiqueの狙いは,DRMを使わなくても音楽市場の成長を維持できることを示すことと見られる。

「PyMusique」の画面表示
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