DVD-Videoの映画タイトルなどのほとんどには,不正コピーを防止する技術である「CSS」(content scrambling system)が使われている。コンテンツを暗号化してディスクに格納しておき,正しい復号化用鍵データをもつ機器でないと再生できないようにする技術である。たとえば,DVD-VideoディスクをパソコンのDVD-ROM装置に入れて,内部にあるファイル群をハード・ディスク装置にコピーしても,復号化用の鍵データがないために再生できない。

 ところが最近,このCSSを不正にくぐり抜けるためのソフトウエアが米国やフランスなどに籍のある複数のWWWサーバで配布されはじめ,DVD関連企業の頭を悩ましている。こうした問題を察知したDVD Forumのメンバは最近,正式な会合が終わったあとの非公式な集まりで,こうしたソフトウエアの登場について話し合ったという。

 CSSを不正にくぐり抜けるソフトウエアは,主に2種類ある。DVD-ROM装置とパソコンを組み合わせたシステムにおいて,(1)CSSの暗号化を解除し,再生可能な状態でハード・ディスク装置に映像データや音声データをコピーするツール,(2)CSSと密接に結びついて機能するRPC(regional playback control:地域による再生制限)の機能を解除してリージョナル・コードに関係なく再生を可能にするツールである(RPC機能の解除は,すべてのDVD-ROM装置で可能なわけではない)。