ドイツInfineon Technologies社は,携帯電話機の送受信機能を統合化したICを開発,「3GSM World Congress 2005」に出展した(発表資料)。GSM/GPRS方式の無線機能とベースバンド処理機能を1チップのCMOS ICに組み込んだ。個別のチップで実現する場合に比較して,実装面積を30%低減できるという。
名称は「E-GOLDradio」。低価格端末の開発を狙う携帯電話機メーカーへの採用を狙う。Infineon社はこのICを実装した携帯電話モジュールを会場で見せた。このモジュールには,携帯電話機の送受信機能のほとんどを実装しているという。具体的にはE-GOLDradioのほか,フィルタなどを集積したフロンド・エンド・モジュール,パワー・アンプ,水晶発振器などのアナログ回路部品と,電力管理用IC,メモリである。Infineon社は,このモジュールの部材コスト(BOM)は約15米ドルとした。「このモジュールを使えば,液晶パネルや筐体,2次電池など含めた全体のBOMを,30米ドル台に収められるはず」(ドイツInfineon Technologies AG, Business Unit RF Engine,Vice President & General ManagerのStefan Wolff氏)。同社は,価格要求の厳しい新興国向けのGSM端末で,こうしたICやモジュールへの需要が今後高まるとにらみ,製品化することにしたという。会場では,このモジュールを搭載した携帯電話機を実際に動作させていた。
Infineon社は,既に同ICのサンプル出荷を開始している。130nmのCMOS技術を使って製造する。同様の1チップ・ケータイ技術では米Texas Instruments社もGSM/GPRS方式の製品を発表しているが(関連記事),「ウチは既に10社以上の顧客にサンプル出荷している」とし,TI社への対抗心をむき出しにしていた。