半導体製造装置で世界大手の東京エレクトロンは2014年10月初旬、英国のオープンイノベーション拠点であるStevenage BioScience Catalyst(SBC)に「幹細胞テクノロジーセンター(STC:Stem Cell Technology Center)」を設立した(関連リリース1関連記事1)。産官学連携を通じ、臨床レベルの細胞品質を実現する幹細胞の自動培養・検査技術を開発し、その標準化を目指すという。同社は2012年9月から、先端医療振興財団(神戸市)と共同で幹細胞の自動培養・検査技術に関する研究に着手しており、STCではその取り組みを発展させる(関連リリース2関連記事2)。

東京エレクトロンの木下氏
[画像のクリックで拡大表示]

 半導体産業が成熟期を迎えた今、半導体のノウハウが生きる新分野としてライフサイエンスに参入する動きは、決して珍しくない。ただしその多くは、自社が得意とするデバイスや製造装置をライフサイエンスにも横展開しようというもの。再生医療の根幹を握る「幹細胞」に焦点を絞り、臨床応用を前提とした技術の標準化にまで踏むこむ東京エレクトロンの取り組みは、異彩を放つ。

 同社はなぜ幹細胞に目を付けたのか、STCではどのような研究に取り組むのか、そしてこの分野でどのようなビジネスを展開できると見ているのか。新事業開拓を担当する木下喜夫氏に聞いた。

(聞き手は大下 淳一=日経デジタルヘルス)