東京エレクトロンはヨーロッパ子会社のTokyo Electron Europe社を通じ、英国のオープンイノベーション拠点であるStevenage BioScience Catalyst(SBC)に、「幹細胞テクノロジーセンター(STC)」を設立した(リリース)。産官学連携を通じ、臨床レベルの細胞品質を実現する幹細胞の自動培養・検査プロセス技術(スマート・セル・プロセシング)を開発し、その標準化を目指す。半導体業界で長く自動化・品質管理システムを手がけてきたノウハウを、生命科学に応用する考え。

 スマート・セル・プロセシングは、細胞培養装置や検査装置などのハードウエアの他、ソフトウエア・アルゴリズムや細胞品質解析手法などから成る。東京エレクトロンはSTCに全自動細胞培養装置や検査装置を設置し、技術パートナー15社と共に開発を進める。これにより、細胞品質を確保する品質管理の枠組みと品質判定のための共有データベースの構築を目指す。この他、英国NIBSC(National Institute for Biological Standards and Control)や英国の幹細胞研究者などと共同で、細胞品質を数値化・標準化する技術の開発も進める。

 東京エレクトロンは英国Cell Therapy Catapult(国立細胞治療実用化研究所)や同Roslin Cells社などとの共同研究を通じ、最終的には英国における幹細胞治療の実用化に向けた基幹プラットフォームを開発することを目指す。これより、複数の細胞製造施設における、自動化による臨床応用の評価を可能とする狙いである。

 東京エレクトロン コーポレート次世代戦略企画室長の木下喜夫氏は、リリースに次のようなコメントを寄せている。「長期的にはこのスマート・セル・プロセシングを完全自動化された細胞工場(スマート・セル・ファクトリー)へ発展させ、臨床レベルの装置で、標準化されたiPS/ES細胞や分化細胞の安全で経済的な生産を実現することを目指す」。