シャープの千葉徹氏(写真:山田愼二)
シャープの千葉徹氏(写真:山田愼二)
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 シャープが電子書籍市場に攻勢をかけ始めた。2009年10月6~10日に開催された「CEATEC JAPAN 2009」では,大きなスペースを割いて,同社が今後取り組む電子書籍サービスの姿を披露した(Tech-On!関連記事)

 シャープにおいて,同事業を指揮する執行役員 研究開発本部副本部長 兼 システム技術統轄の千葉徹氏に話を聞いた。(聞き手=小谷 卓也)

――先日発売したネットブック「NetWalker」は,電子書籍端末としても使えるということで,電子書籍市場からも注目を集めています。

 電子書籍端末として求められる性能は,ケース・バイ・ケースです。例えば,テキストが主のコンテンツなのか,地図のようなコンテンツなのか。あるいは絵本などの場合は,シチュエーションとして子供が親と一緒に読むわけですから,複数人で見られるような端末でなければならないでしょう。どんな場所で読むかによっても変わってきます。

 我々は,携帯電話機から液晶テレビ,電子辞書まで,いろいろな種類の端末を手掛けていますが,端末によって得手不得手があります。もちろん一つひとつの端末は,できるだけ多くの領域を網羅しようとはしますが,やはり本の場合はジャンルが幅広いですから,すべてカバーするのは難しい。さまざまな端末を持っていることが,電子書籍市場におけるシャープの強みといえるでしょう。

――御社は近い将来,電子書籍の専用端末を投入することも示唆しています。

 使い勝手の良さが,専用端末の魅力だと思います。ただし,投入時期は,まだ決めていません。もちろん2年も3年も待っていられないという思いはあります。

 専用端末は,その地域の出版文化に合わせていく必要がありますから,世界同時発売ができるような製品ではありません。まずは,国内を中心とした地域を想定しています。米国などと異なり国内では電子書籍がまだ大きな動きになっていませんが,他の企業が先行した後に,追い掛けていくのはシャープのイメージにそぐいません。電子書籍市場には長年かかわってきたという自負もありますし,ある程度,市場で先行していきたいと思っています。

――(下)に続く――