2005年秋。パナソニック モバイルコミュニケーションズ(以下,パナソニック モバイル)にとって,重大な決断が下された。2006年秋の発売を目指す「P903i」に,米Taxas Instruments Inc.の「OMAP」シリーズではなく,UniPhierを採用することが決まったのだ。

 この決定に,パナソニック モバイルの技術者たちは激怒した。なぜなら,当時開発中だったワンセグ放送対応の企画モデル「P901iTV」に試験的に導入したUniPhierの完成度があまりに低かったからだ。P901iTVは2006年春の発売を目指していたが,開発は難航しており,試作機はこの時点でもまともに安定動作しない状況だった。