身の回りで生まれる電力,そこかしこに

 モータに電気を流すと,モータが回転します。逆にモータの回転軸をぐるぐる回すと,モータで電気が発生します。自転車の前輪に付いているライトを想像してください。ライトの横にある発電機(モータ)が前輪と接して回転すると,ライトが点灯しますよね。それと同じで,要は運動エネルギーを電気エネルギーに変えるわけです。

第1部<総論>
広がる電力の再利用
CO2排出規制が追い風に

 機器で生じた余剰なエネルギーを電力として再利用する電力回生技術が今,熱い。もともとは鉄道車両や工作機械などで使う出力100kWを超える大型モータで培われた技術だがここ最近,数百W程度と出力が低い機器への採用が進み始めている。ハイブリッド車や電動アシスト付き自転車といった輸送機器はもちろんのことAC-DCコンバータにも応用範囲が広がっている。世界的にCO2排出量の削減が叫ばれる中,電力回生による省エネルギー効果に期待が集まる。

第2部<事例>
適用分野は多種多様に
次々と生まれる新たな価値

 さまざまな分野で広がりつつある電力回生技術。省エネルギー効果やCO2排出量の削減に貢献するものの現状では,電力回生に伴う装置の搭載による高コスト化は避けて通れない。だからこそ,魅力ある商品に仕上げる必要がある。従来にない新たな価値を付加することで製品化につなげるメーカーが徐々に増えてきた。