ガソリン・エンジンやディーゼル・エンジンなどの内燃機関と,電気モータを搭載する自動車。内燃機関を搭載するため排気ガスは出るが,通常のガソリン車などに比べればCO2などの温室効果ガスの排出量が少ないため,環境負荷が少ない「地球にやさしいクルマ」として脚光を浴びている。最近では環境意識の高まりだけでなく原油高騰などの影響を受け,売り上げが伸びている状況である。

 ハイブリッド車の駆動方式は主に3種類に分けられる。1つは,内燃機関とモータを直列につなぐシリーズ方式である。エンジンで発電機を回し,発電した電気を蓄電装置に貯め,蓄電装置からの出力でモータを回して駆動する。2つめは内燃機関とモータを並列につないだパラレル方式で,エンジンによる動力とモータによる動力を状況に応じて使い分ける。単独で動力が不足する場合は両方を駆動して互いに補う。例えば,高速走行でエンジンをアシストするときに蓄電装置からの電力でモータを駆動する。3つめがシリーズ方式とパラレル方式を組み合わせたスプリット方式(またはシリーズ・パラレル方式)である。エンジンを発電と駆動の両方に用いる。トヨタ自動車が1997年12月に発売した世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」は,スプリット方式を採用している。

 中型車などでは,ハイブリッド車にすることで燃費の改善が期待できる。エンジンとともにモータが駆動源となる場合,モータでエンジンをアシストするように設計することで,エンジン自体を小型・軽量化して車両重量を低減したり,運転効率を高めたりできる。また回生システムを利用し,蓄えた電気エネルギーをエンジン再始動時のスタータ駆動などに利用する。回生システムは,減速時にモータを発電機として使い,車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収し,蓄電装置に蓄える。一方,小型車の場合,ハイブリッド・システムを適用するとエンジンとモータの両方を搭載する必要があるため,体積効率が悪く適していないという考え方もある。

 ハイブリッド車は自動車の電子化を進める大きな要因になっている。ハイブリッド車の主要部品と言われているのは,電池などの蓄電装置,モータ,インバータの3つの電子部品である。蓄電装置にはNi水素2次電池や,エネルギー密度が高く小型・軽量化しやすいLiイオン2次電池,急速充電と大電流での放電が可能な電気2重層コンデンサ(キャパシタ)などを用いる。また,エンジン,モータ,2次電池,ブレーキなどを制御するための各電子制御ユニット(ECU)と,これらの統合制御用ECU,インバータ向けのパワー半導体など,半導体も多数使われている。