日本人の生活に深く浸透しつつある非接触ICカード技術「FeliCa」。この技術をめぐり,請求額20億円という巨額の特許侵害訴訟が起きた。個人発明家で知られる日本システム研究所 取締役社長の松下昭氏は,FeliCaを開発したソニーおよび,同カードを採用する「Suica」サービスを手掛けるJR東日本を提訴した。

 侵害の対象とされる2件の特許は,いずれも松下氏が1985年に出願したもの。「第1601672号」(以下672特許)は,リーダー/ライターがデータや電力をICカードに送るために出力する搬送波を基に,カードのICを駆動するクロックを生成する発明。「第3574452号」(以下452特許)は,ICカードとリーダー/ライターとの距離に応じて搬送波の強度を制御する発明である。いずれの特許も,RFIDタグを含めた近距離通信のほとんどに適用できると松下氏は主張する。