無線LANの通信速度が低下する。ワンセグ放送の受信ができない。こうした現象を引き起こす,機器内のEMC問題が設計者の関心を集めている。「自家中毒」とも呼ばれるこの現象への対策は携帯電話機やノート・パソコンの開発者にとって焦眉の急である。今後,さまざまな携帯機器やカーナビなどにも同様の問題が広がるのは間違いない。この問題に取り組むために,近傍の微弱な電磁雑音を計測する手法の開発が進んでいる。これらの手法で状況を把握した上で,既存の機器間のEMC対策に近い手立てを施す。

 携帯機器に組み込んだ無線LANの通信速度が,本来の半分程度しか得られない。あるいはノート・パソコンに搭載したワンセグ放送の受信機能で,きちんと映像が映らない。携帯電話機やノート・パソコンといった機器の無線や放送関連の機能で,当初の設計と比べて性能が劣化する現象が増えている。 この原因として注目を集めているのが,機器内のEMC問題である。