米IEEE802委員会で,標準規格策定にまつわる不祥事が相次いでいる。中でも無線ブロードバンド規格を策定中のIEEE802.20に活動停止命令が下ったのは,国内の関係者にも大きな衝撃を与えた。上部機関であるIEEE-SAStandards Board(以下,SASB)議長のSteve Mills氏,および同委員会議長であるPaul Nikolich氏に,背景について聞いた。

―2006年6月にSASBがIEEE802.20部会に対して活動の一時停止を命令した。このような事態に至ったことをどう見ているのか?

Mills氏 標準を作る際には常に,あるレベルまでの競争が存在する。それは,IEEEのすべての作業部会で共通だ。特に最近は,参加者にとって標準に準拠した製品を開発するための経済的な負担が非常に高まっている。このため論争がより激しくなる傾向があり,議論が決着しづらくなっていることは事実だ。しかし,802.20部会で起きたことは,非常に特殊なケースだと考えている。