「えっ,NaじゃなくてKを使ってたの」――。

 本誌が既報した米Medis Technologies Ltd.の使い捨て燃料電池「Power Pack」の詳細が明らかになった。最も驚いたのが,燃料に水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)ではなく,水素化ホウ素カリウム(KBH4)を使っていたことである。

 成分分析の結果,燃料には8.25mol/LのKBH4と12.1mol/LのKOHを混ぜ合わせたものを使っていた。本体を強く握り締めることで,これら溶液を格納するパックから,本体内部に溶液が拡散する仕組みである。なぜNaBH4ではなくKBH4を使っているのか,燃料電池の分解に協力してくれた国内のエレクトロニクス・メーカーの燃料電池技術者もこの点には首をひねるばかりである。