fuel cell

 内部で水(H2O)の電気分解とは逆の反応を起こし,そのときに発生する電流を外部に取り出して利用する電池。普通の電池と異なり,電池の交換や充電が不要。その代わりに,水素ガスやメタノールなどの燃料を供給する必要がある。これらの燃料に含まれるHが燃料電池の内部で空気中のOと反応することで,H2Oが生成するとともに電流が発生する。電池というより,むしろ発電機である。

 燃料電池は,空気極,燃料極,触媒を担持した電解質膜,HとOの供給溝とH2Oの排出溝を形成したセパレータから成るセルが基本的な構成要素となる。セル1枚当たりで,例えば0.7V程度の電圧が発生する。このセルを何枚積み重ねるかによって,システム全体の出力が決まる(図)。

 燃料電池の原理自体は1839年に英国のW. Grove氏によって発明された。これが実用レベルになったのは,1960年代に米国のジェミニ宇宙船に搭載されてから。燃料電池と一言で言っても,その種類は電解質膜の種類や作動温度によってリン酸型,溶融炭酸塩型,固体電解質型,固体高分子型の4つに大別できる。このうち,固体高分子型が最も注目されている。1987年にカナダBallard Power Systems Inc.が固体高分子型の高出力化の可能性を示したことなどをキッカケに,日米欧で研究開発が活発化してきた。