「世界市場では第3世代移動体通信のインフラ投資に踏み切れない事業者が依然として存在する。モバイルWiMAXはそうした顧客に提供していく」(フィンランドNokia Corp.)――。

 高速無線アクセス規格「WiMAX」関連のイベント「WiMAX World Conference & Exposition 2006」で最も存在感を示したのがモバイルWiMAXに向けた基地局の展示だ。携帯電話の基地局を手掛ける大手の通信装置メーカーがこぞってモバイルWiMAXの基地局を出展し,通信事業者に対して採用を熱烈にアピールした。Nokia社のほか,米Motorola, Inc.やカナダNortel Networks Ltd.,富士通などが相次いで開発品の実機を披露し,2007年中の実用化を表明した。

 携帯電話を手掛ける通信機器メーカーは,必ずしも当初からモバイルWiMAXに積極的だったとは言い切れない。しかし顧客である通信事業者が,「導入コストを安価に抑えられる」ことを売り文句に掲げるモバイルWiMAXに関心を持ち始めたことで,もはや無視できない存在になってきたようだ。例えばNokia社は冒頭のコメントにあるように,3Gを補完する通信技術として展開する意向である。