空前の大規模リコールにつながった,ソニー子会社のソニーエナジー・デバイス製Liイオン2次電池セルの発熱・発火事故。これまで事故の原因について,「金属微粒子が電池セル内に混入した」という説明を繰り返すばかりだったソニーは,2006年10月24日に開いた会見で初めて発熱・発火に至るメカニズムを明かした。事故の元凶は,製造工程でセル内の特定部位に混入したNi微粒子にあったという。
 
 ソニーの説明はこうだ。問題になった円筒形セルは,シート状の電極,セパレータをバウムクーヘンのように巻いた「素子」を,SUS(ステンレス)製の金属缶に挿入するなどして組み立てる。この中の「缶加工」と呼ばれる工程で金属微粒子が混入した。

 Cu,Al,Feなどさまざまな種類の金属微粒子が混入する可能性があるが,「今回問題を引き起こしたのはNiだと考えている」(ソニー 執行役副社長 セミコンダクタ&コンポーネントグループ担当の中川裕氏)。缶の内側に施した「Niメッキが発生源の一つ」(ソニー)という。缶加工で素子の上部に落ちたNi微粒子は,電解液の注入工程でセル内に侵入する。