Liイオン2次電池は1991年,ソニー・エナジー・テック(現在のソニーエナジー・デバイス)によって初めて量産された。翌年にはソニーのビデオ・カメラで採用,米Dell,Inc.のパソコンなどへの搭載を経て,各種の携帯機器に不可欠な存在に成長した。三洋電機なども製品化し,その市場規模はセル数ベースの国内工場出荷分だけで年間3000億円に達している。これは2次電池全体の5割を超える。

 これだけLiイオン2次電池が普及した理由の一つに,高いエネルギー密度と安全性を両立していたことがある。実はソニー・エナジー・テックが発表した当初,Liイオン2次電池は「つなぎにすぎない」と冷やかにみられていた。他社の金属Li 2次電池よりもエネルギー密度が低かったからだ。