電気自動車(EV:electric vehicle)を巡る開発が日米で活発化してきた。米国ではハイブリッド車の2次電池を家庭用コンセントから充電できるようにし,その2次電池の搭載量を増やしてEVとしても走行可能なプラグイン・ハイブリッド車(PHEV:plug-in hybrid electric vehicle)を実用化させようとの機運が高まっている。一方,日本では短距離移動向けに,軽自動車を電気自動車化する動きが加速し始めた。

 EVはこれまで1970年代と1990年代の2度,実用化に向けて大きな盛り上がりを見せたことがある。日本では数百億円を掛けた国家プロジェクトが進み,1970年代には鉛蓄電池を搭載したEVが,1990年代にはNi水素2次電池を搭載したEVが開発された。どちらのプロジェクトもきっかけは,米国の排出ガス規制の強化にある。1970年代については,車両からのHC(炭化水素)やNOX(窒素酸化物)の排出量を1/7と大幅に削減することを要求する「Muskie Act」が,1990年代については,米国カリフォルニア州が排出ガスを出さないクルマの販売を義務化する「ZEV(Zero Emission Vehicle)規制」を導入したことに端を発している。