ソニーの動きは速かった。HDTV映像をDVD媒体などに記録するビデオ・カメラ用の規格「AVCHD」を松下電器産業と共同で発表したのが2006年5月11日のこと。同年7月13日に,対象とする記録媒体を増やすなど詳細を固めた規格のVer1.0を発表し,松下電器と共同でライセンスを開始した。そのわずか1週間後の7月19日に,ソニーはAVCHD規格に対応する最初の民生用デジタル・ビデオ・カメラを発表した。直径8cmのDVD媒体を用いる「HDR-UX1」を2006年9月に,30Gバイトの1.8インチHDDを使う「HDR-SR1」を同年10月にそれぞれ発売する。いずれも1440×1080画素で60フィールド/秒の,いわゆる1080iのHDTV映像を記録できる。

 圧倒的なスピードを感じさせる一連の動きを,ソニーは「予定通り」と言い切る。これだけ早い時期にAVCHD対応ビデオ・カメラを投入できたのは,同社の周到な準備による。ソニーは,今回の製品に必要な要素技術の大半を既に積み上げていた。