地磁気センサは,地磁気の向きを検知し,方位を算出するために利用する。従来,腕時計や電子コンパスなどに採用されてきた。最近では携帯電話機への搭載が相次いでいる。携帯電話機に搭載されたGPSシステムによる位置情報に併せて,向いている方向を表示するためである。携帯型のGPSシステムやナビゲーション・システム,電子玩具などへの搭載も視野に入れている。地軸センサICには駆動回路や増幅回路などを内蔵しており,加速度センサやA-D変換器なども内蔵した品種も市場に出回っている。パッケージにウエハー・レベルCSPを採用して小型化を図る品種も出ている。使う上での課題は,検出した地磁気データの補正手法である。補正用ソフトウエアを地軸センサICとともに提供するメーカーもある。(根津 禎)

 地磁気センサICで利用されている磁気センサ素子には主に3種類ある。MR(magneto-resistive)素子,MI(magneto-impedance)素子,ホール素子である。MR素子は例えば外部磁界の強度変化とともに抵抗値が変わるパーマロイ(NiFe)など金属軟磁性体のMR効果,MI素子は外部磁界が変動したときにインピーダンスが変わるアモルファス・ワイヤのMI効果を利用する。ワイヤにはパルス電流を流しておく。ホール素子では,半導体のホール効果によって生じた電位差を検出することで,外部磁界の変化を測定する。