この連載では,NECエレクトロニクスが開発した,電圧制御を軸とするLSIの低消費電力技術を解説する。二回目は,この技術を構成する三つの要素のうち,トランジスタの構造やhigh-k 材料といったプロセス・デバイス技術を取り上げる。 (浅川 直輝=本誌)

齋藤 敏幸
NECエレクトロニクス 設計技術事業部 シニアエキスパート
吉田 誠
NECエレクトロニクス モバイルシステム事業部 シニアデザインエンジニア
相本 代志治
NECエレクトロニクス コア開発事業部 シニアデザインエンジニア
野村 昌弘
NEC システムデバイス研究所 主任研究員

 LSIの消費電力は,スイッチング電力とリーク電力の和で表せる。130nm世代以前までは,スイッチング電力が消費電力の大半を占めていた。だが,130nm,90nm,65nmと設計ルールの微細化が進むにつれて,リーク電力の占める割合はますます高くなっている。

 我々が開発した,電圧制御を軸とする低消費電力技術「UltimateLowPower」は,リーク電流を抑えるための回路技術,設計技術,プロセス・デバイス技術の総称である。今回は,電圧制御の効果を最大限生かすために開発したプロセス・デバイス技術を取り上げる。